不動産会社がSNS運用代行と契約するときは、広告表示の責任が宅建業者にある前提で、投稿の最終確認者、物件情報の更新と削除の担当、アカウントや素材の権利を契約書で明確にしておくことが、トラブルを防ぐ近道です。
結論から言います。不動産会社がSNS運用代行と契約するときは、「広告表示の責任は自社(宅建業者)に残る」前提で契約書を組み立てることが重要です。投稿を作るのが代行会社でも、宅地建物取引業法や不動産の表示ルール上の責任は、広告主である宅建業者が負います。そのため契約前に、投稿の最終確認者、物件情報の更新と削除の担当、アカウントと素材の権利の3点を文書で決めてください。この記事では、契約書に入れる項目と代行会社の見極め方を整理します。
広告表示の責任は宅建業者にある|代行会社に移らない理由
SNSの物件投稿も、宅地建物取引業法上の「広告」にあたります。InstagramやTikTokの投稿、ストーリーズ、広告配信も同じ扱いです。表示の責任は広告主である宅建業者にあり、代行会社との契約で移すことはできません。
特に注意したいルールは次のとおりです。
- 誇大広告等の禁止(宅建業法32条):所在・規模・環境・価格などについて、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示の禁止
- 広告開始時期の制限(同33条):開発許可や建築確認を受ける前の物件は広告できない
- 取引態様の明示(同34条):売主・代理・媒介のどれかを広告で示す
- 不動産の表示に関する公正競争規約:おとり広告の禁止、「徒歩1分=80m」換算、「新築」の定義など、業界の自主ルール
違反があれば、宅建業者が監督処分などの対象になります。「代行会社が書いた投稿だった」という説明は、責任を免れる理由になりません。
SNSで起きやすいのは成約済み物件の投稿の放置です。表示規約では、取引できない物件を表示し続けることは「おとり広告」と判断されることがあります。ポータルサイトとは違い、SNSの投稿は自動で消えません。だからこそ、更新と削除の担当を契約で決めておく必要があります。
契約書で明確にする5つの担当と期限
代行契約では「誰が・いつまでに・何をするか」を書面に残します。一般的な契約条項はSNS運用代行の契約書チェックポイントにまとめています。ここでは不動産で特に必要な5項目を挙げます。
| 項目 | 決める内容 | 契約書での書き方の例 |
|---|---|---|
| 投稿の最終確認者 | 公開前に表示内容を承認する社内の担当者 | 「甲(自社)の承認なく投稿を公開しない」 |
| 物件情報の更新担当 | 価格変更・条件変更を代行会社へ伝える担当と期限 | 「変更は営業日◯日以内に乙へ通知」 |
| 成約・募集終了時の削除 | 成約後に投稿を非公開・削除するまでの期限 | 「通知後◯営業日以内に非公開化」 |
| 表記ルールの共有 | 取引態様・徒歩分数・必要な表示事項の統一ルール | 「甲が提供する表記ルールに従う」 |
| アカウント・素材の権利 | アカウントの所有者、写真・動画・文章の権利の帰属 | 「アカウントは甲名義、成果物の著作権は甲に帰属」 |
最終確認者は「宅建士がいる部署の担当者」にしておくと、表示事項のチェックが回りやすくなります。代行会社にもチェックリストを持ってもらい、二重確認にするのが現実的です。
素材の権利も見落とせません。代行会社が撮影した物件写真を解約後に使えないと、資産が残りません。BGMや画像の扱いはSNS運用代行の著作権トラブルも参考にしてください。
代行会社のタイプ別比較|表示確認の体制で選ぶ
不動産のSNS運用代行は、大きく4タイプに分かれます。費用は業務範囲・投稿本数・撮影の有無で差があり、下の金額は目安の幅です。
| タイプ | 費用レンジ | 向いている会社 | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 不動産特化型 | 月額10万〜30万円程度が多い | 物件投稿が多い売買・賃貸仲介 | 表示規約のチェック体制、削除対応の速さ |
| 総合型(業種を問わない) | 月額5万〜30万円程度が多い | ブランディング中心の工務店・デベロッパー | 不動産の表示ルールの理解度、確認フロー |
| 動画特化型 | 1本数万円〜、月額パックもあり | ルームツアーや施工事例の動画を増やしたい会社 | 撮影時の物件情報の扱い、素材の権利 |
| フリーランス | 月額数万円〜が多い | 投稿数が少ない地域密着の店舗 | 不在時の削除対応、契約書の有無 |
| 内製(自社運用) | 人件費+ツール費 | 営業と別に専任担当を置ける会社 | 担当者の工数、表記ルールの社内共有 |
物件投稿が多い会社ほど、更新・削除の手間が増えます。安さだけでなく、「成約から非公開までの時間」を比べてください。媒体別の違いは不動産のSNS運用代行の選び方で詳しく解説しています。
契約前に聞くべき5つの質問
代行会社の実力は、次の質問への答え方で見極められます。
- 「物件投稿の公開前に、どんな項目をチェックしていますか」 取引態様、価格、徒歩分数、広告開始時期などを具体的に挙げられるかを見ます。
- 「成約の連絡から投稿を非公開にするまで、何営業日かかりますか」 期限を数字で答え、契約書に書けるかを確認します。
- 「表示の誤りが見つかったとき、修正と報告の流れはどうなりますか」 初動の担当者と連絡手段が決まっているかを聞きます。
- 「アカウントの名義と、写真・動画の権利は解約後どうなりますか」 自社名義で、成果物を引き続き使える条件になっているかを確認します。
- 「月次の報告に、掲載中の物件一覧は含まれますか」 公開中の物件と募集状況を突き合わせられる報告形式かを見ます。
1と2に曖昧な答えしか返ってこない場合は、不動産の表示ルールへの理解が浅いと判断できます。
代行を頼むべき会社・頼まなくてよい会社と費用の見方
頼むべき会社は次のような会社です。
- 営業担当が投稿を兼任していて、更新が止まりがちな会社
- 物件数が多く、撮影・編集の手が足りない会社
- 社内に確認者を置けて、承認フローを回せる会社
頼まなくてよい会社は次のような会社です。
- 物件数が少なく、月数本の投稿で足りる会社
- 社内に公開前の確認者を置けない会社(責任の所在が曖昧になります)
- SNSより先に、ポータルサイトやホームページの整備が必要な会社
費用は月額だけで比べず、1本あたりと反響1件あたりに直してください。たとえば月額15万円で月12本なら、1本あたり約1.25万円です。SNS経由の問い合わせが月3件なら、反響1件あたり5万円になります。
ただし反響の数は、エリア・物件種別・時期で大きく変わります。最初の3〜6か月は投稿の作り込みや反響の測り方を整える期間と考え、指標は事前に代行会社とすり合わせてください。測り方は不動産のSNS反響KPIの決め方が参考になります。
まとめ
- SNSの物件投稿も広告であり、表示の責任は宅建業者に残ります
- 契約書には「最終確認者」「更新担当」「成約後の削除期限」「表記ルール」「権利の帰属」を入れます
- 代行会社は、チェック項目と削除までの日数を具体的に答えられるかで見極めます
- 次の行動として、依頼前チェックリストで自社の確認体制を整理してから見積もりを取りましょう
よくある質問
Q. 代行会社が作った投稿に誤りがあった場合、責任は誰にありますか。
A. 広告主である宅建業者が、宅建業法や表示規約上の責任を負います。代行会社との間では、契約書で修正対応や損害の分担を決めておけます。ただし、行政や業界団体に対する責任を代行会社に移すことはできません。
Q. 成約した物件の投稿は、削除しないといけませんか。
A. 取引できない物件の表示を続けると、おとり広告と判断されることがあります。成約や募集終了の連絡から非公開にするまでの期限を、契約書で決めておくと安心です。
Q. アカウントは代行会社の名義で作ってもよいですか。
A. 解約時の引き継ぎを考えると、自社名義で作り、代行会社には必要な権限だけを渡すのが基本です。権限の渡し方はSNS運用代行に渡すアカウント権限の管理方法で解説しています。
Q. 表示規約のチェックは代行会社に全部任せられますか。
A. 代行会社にチェックしてもらうのは有効ですが、最終確認は自社で行う体制がおすすめです。物件の最新状況を一番把握しているのは自社の営業担当だからです。
比較の進め方や契約前の確認項目は、資料請求(選び方ガイド・依頼前チェックリスト)にまとめています。媒体別の違いを先に知りたい場合は、不動産会社のインスタ運用代行の比較もあわせてご覧ください。なお、運営元の株式会社HolyTechも、1本7,500円(税込)・初期費用0円の運用代行を行っており、比較対象の1社としてご検討いただけます。
この記事について 業種別SNS運用代行ナビは株式会社HolyTechが運営する比較情報サイトです。当社もSNS運用代行を提供しており、比較表の1社として同じ基準で掲載しています。他社に関する記載は各社公式サイトの公開情報に基づき、順位付けはしていません。費用や成果は業種・商圏・体制で差があります。
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