不動産投資の集客をSNSで行うなら、利回り保証や「必ず儲かる」といった断定表現は宅建業法・景表法で問題になります。利回りの算出根拠とリスク説明を投稿ルールにまとめ、表現チェック体制のある代行会社を選ぶ方法を解説します。
結論から言います。不動産投資のSNS集客は、代行会社を選ぶ前に「利回りの出し方」と「リスクの書き方」を投稿ルールとして文書にしておくことが先です。SNSは短い言葉で伝わる反面、「利回り◯%保証」「必ず儲かる」のような断定表現が出やすい媒体です。こうした表現は宅建業法や景品表示法などで問題になることがあります。ルールを先に決めておけば、代行会社がそのルールを守れるかどうかで比べられます。この記事では、投稿ルールの作り方と、代行会社に確認すべき点を整理します。
不動産投資のSNS投稿で問題になりやすい表現
不動産投資の広告には、ふつうの物件広告より厳しい目が向けられます。投資の判断を誤らせる表示は、購入者の損失に直結するためです。SNS投稿も広告の一種として扱われる前提で考えます。
主に関係するルールは次のとおりです。
- 宅地建物取引業法(第32条):著しく事実と違う表示や、実際より著しく有利だと誤認させる表示(誇大広告)を禁止しています
- 宅地建物取引業法(第47条の2):契約の勧誘で、利益が出ると断定して相手を誤解させる行為を禁止しています。DMでのやり取りも勧誘にあたる場面があります
- 景品表示法:実際より良く見せる表示(優良誤認・有利誤認)を禁止しています。2023年10月からは、広告であることを隠す「ステマ」も規制対象です
- 不動産の表示に関する公正競争規約:業界の自主ルールです。「完全」「最高」などの特定用語の使い方に基準があります
- 賃貸住宅管理業法:サブリース(一括借上げ)の勧誘や広告で、家賃が減額されるリスクを隠す表示を禁止しています
とくに注意したいのが「家賃保証」「空室保証」という言葉です。国土交通省のサブリースに関するガイドラインでは、こうした言葉を使う場合、家賃が減額されうることを近くに分かりやすく書くよう求めています。
なお、不動産小口化商品やクラウドファンディング型の商品は、宅建業法以外の法律も関係します。扱う商品の種類ごとに、自社の法務担当や顧問弁護士に確認してください。
SNSで出やすいNG表現と言い換えの例は次のとおりです。
| 出やすい表現 | 何が問題か | 言い換えの方向 |
|---|---|---|
| 利回り8%保証 | 将来の収益を保証していると誤認させる | 表面利回り◯%(満室想定・◯年◯月時点) |
| 必ず儲かる・損はしない | 利益を断定している | 収支シミュレーションの前提条件を示す |
| 家賃保証で安心 | 減額リスクを隠している | 借上げ賃料は見直しで下がる場合があると隣に書く |
| 今だけ・残りわずか | 根拠のない焦らせ表現 | 実際の販売状況を事実のまま書く |
| 年金代わりになる | 将来の生活保障を連想させる | 長期で見るべき費用やリスクも並べて書く |
利回り表示とリスク説明を投稿ルールにする手順
ルールは担当者の感覚に任せず、1枚の文書にまとめます。代行会社との契約時に渡せる形にしておくと便利です。
- 利回りの種類を固定する:表面利回りか実質利回りかを、毎回明記するルールにします。表面利回りは家賃収入÷物件価格で、管理費・税金などの経費を引く前の数字です
- 算出の前提を書く場所を決める:「満室想定か現況賃料か」「◯年◯月時点」を、画像内かキャプション冒頭に必ず入れます。画像だけ転載されたときにも前提が残るようにするためです
- リスクの定型文を用意する:空室・家賃下落・金利上昇・修繕費・売却価格の変動を並べた定型文を作ります。利回りを出す投稿には毎回これを付けます
- 禁止ワード表を作る:「保証」「必ず」「損しない」「最高」などを一覧にします。代行会社と共有し、投稿前のチェックに使います
- DM対応の線引きを決める:DMで個別の収益見込みを聞かれたら、面談や資料送付に切り替えるルールにします。DMで断定的な回答をしないためです
- 承認フローを決める:誰が最終確認するかを決めます。宅建士や法務担当が確認する体制だと安心です
キャプションに入れる注意書きの文面は、自社の法務担当や顧問弁護士に一度見てもらってから確定させてください。
代行会社のタイプ別比較
不動産投資の発信は、表現チェックの体制で代行会社の差が出ます。タイプ別の特徴は次のとおりです。費用は業務範囲・投稿本数・広告運用の有無で大きく変わるため、目安として見てください。
| タイプ | 費用レンジ | 向いている会社 | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 不動産特化型 | 月額15〜40万円程度が多い | 投資用物件の販売が主力で、発信量も多い会社 | 投資用物件の実績があるか。宅建業法・公正競争規約のチェック工程があるか |
| 総合型 | 月額10〜30万円程度が多い | 動画や広告もまとめて任せたい会社 | 不動産の表現ルールを理解した担当者がつくか |
| 動画特化型 | 1本数万円〜が多い | 物件紹介や解説動画を増やしたい会社 | テロップやナレーションの表現も確認対象になっているか |
| フリーランス | 月額3〜10万円程度が多い | 発信量が少なく、社内で最終確認できる会社 | 本人が休んだときの体制。チェックを社内で担えるか |
| 内製 | 担当者の人件費が中心 | 宅建士や法務担当が社内にいる会社 | 営業と兼任で投稿が止まらないか |
業種別の基準は「不動産のSNS運用代行の選び方」でも整理しています。
代行会社に聞くべき5つの質問
提案書のきれいさより、表現リスクへの備えを聞き出すことが大切です。次の5つを面談で聞いてみてください。
- Q1. 投資用物件の投稿で、利回りの前提条件をどう書いていますか? 具体的な書き方が答えられるかで、経験の有無が分かります
- Q2. 投稿前の表現チェックは誰が、何を基準に行いますか? 宅建業法・景品表示法・公正競争規約の名前が出てくるかを見ます
- Q3. こちらの禁止ワード表やリスク定型文を、運用に組み込めますか? 自社ルールを守る仕組みがあるかを確認します
- Q4. DMやコメントで収益見込みを聞かれたら、どう対応しますか? 断定的な回答をしない運用ルールがあるかを確認します
- Q5. インフルエンサーや紹介者を使う場合、PR表記はどうしますか? ステマ規制への対応です。詳しくは「SNS運用代行とステマ規制」で解説しています
向き不向きと費用の見方
代行に頼むべき会社は、投稿の企画や撮影に手が回らず、社内に最終確認できる人がいる会社です。ルールと承認フローがあれば、作業を外に出しても品質を保てます。
代行に頼まなくてよい会社は、発信量が月数本で、営業担当が自分の言葉で書ける会社です。この場合は、投稿ルールを整えて内製するほうが合うことがあります。
費用は月額だけで比べず、2つの単価に直して見ます。
- 1本あたりの費用:月額費用÷月の投稿本数。チェック工程が含まれているかも合わせて確認します
- 反響1件あたりの費用:月額費用÷SNS経由の資料請求・面談予約の件数。反響とは問い合わせなどの反応のことです
たとえば月額20万円で月8本なら、1本あたり2万5,000円です。面談予約が月4件なら、反響1件あたり5万円になります。成果は物件価格帯・エリア・営業体制で大きく変わるため、数か月の推移で判断してください。計測方法は「不動産のSNS反響KPIの決め方」が参考になります。
まとめ
不動産投資のSNS集客は、断定表現を避けるルール作りが出発点です。利回りの種類と前提、リスクの定型文、禁止ワード、承認フローを先に文書にします。そのうえで、ルールを運用に組み込める代行会社を選びます。まずは自社の投稿ルール案を作り、資料請求で各社の対応を比べてみてください。
よくある質問
Q. 利回りの数字をSNSに載せること自体は問題ですか?
A. 載せること自体がすぐに違反になるわけではありません。表面か実質か、満室想定か、いつ時点かといった前提を明記することが大切です。前提を省くと、実際より有利だと誤認させるおそれがあります。
Q. 「家賃保証」という言葉は使えませんか?
A. 使う場合は、家賃が見直しで減額されうることを、言葉のすぐ近くに分かりやすく書く必要があります。国土交通省のサブリースに関するガイドラインで示されている考え方です。
Q. 投稿内容に問題があった場合、責任は代行会社にありますか?
A. 広告主である自社が責任を問われる可能性があります。代行会社に任せきりにせず、最終確認は社内で行う体制にしておくのが安全です。
Q. 投資家の体験談をSNSで紹介してもよいですか?
A. 特定の成功例だけを強調すると、誰でも同じ成果が出ると誤認させるおそれがあります。報酬や特典を渡して投稿を依頼する場合は、PR表記も必要です。掲載前に法務担当へ確認してください。
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この記事について 業種別SNS運用代行ナビは株式会社HolyTechが運営する比較情報サイトです。当社もSNS運用代行を提供しており、比較表の1社として同じ基準で掲載しています。他社に関する記載は各社公式サイトの公開情報に基づき、順位付けはしていません。費用や成果は業種・商圏・体制で差があります。
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