不動産のSNS投稿は、成約後も残り続けるとおとり広告と見なされるおそれがあります。宅建業法と不動産の表示に関する公正競争規約をもとに、物件投稿の台帳管理・削除ルール・代行会社との責任分担を発注前に決める方法を解説します。
結論から言います。不動産のSNS運用を代行に頼むなら、発注前に「成約した物件の投稿をいつ、誰が消すか」を決めてください。
SNSの投稿は、消さない限り何年も残ります。成約済みの物件が残っていれば、おとり広告と見なされるおそれがあります。
責任を負うのは、投稿を作った代行会社ではなく広告主の不動産会社です。この記事では、宅建業法と「不動産の表示に関する公正競争規約」をもとに、SNS特有の管理ルールを整理します。
※法令や規約は改正されることがあります。運用前に、所属する不動産公正取引協議会や不動産公正取引協議会連合会が公表している最新版を必ず確認してください。
SNS投稿もおとり広告規制の対象になる
まず前提です。不動産会社がSNSに出す物件情報は「広告」として扱われます。チラシやポータルサイトと同じルールがかかります。
おとり広告とは何か
公正競争規約では、次のような表示を「おとり広告」として禁止しています。
- 物件が存在しないため、実際には取引できない物件の表示
- 物件は存在するが、すでに成約済みなどで取引の対象にならない物件の表示
- 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件の表示
宅建業法でも監督処分の対象になる
宅建業法は、誇大広告等を禁止しています(第32条)。事実と著しく違う表示や、実際より著しく有利と思わせる表示が対象です。
おとり広告は、規約違反として協議会から警告や違約金の措置を受けることがあります。さらに宅建業法違反として、行政から指示処分や業務停止処分を受けることもあります。
「わざとではない」は通らない
成約後に消し忘れただけでも、客観的に取引できない物件が表示されていれば問題になります。意図の有無より「表示が事実と合っているか」で判断されると考えてください。
SNS特有の「投稿が残り続ける」問題
ポータルサイトは、掲載を止めれば物件ページが消えます。SNSはそうはいきません。残り方が媒体ごとに違うためです。
| 残り方 | 具体例 | 起きやすい問題 |
|---|---|---|
| 通常投稿が残る | Instagramのフィード・リール、Xのポスト、YouTubeショート | 成約後も「募集中」と読める投稿が検索に出る |
| まとめ機能に残る | ストーリーズのハイライト、固定投稿、再生リスト | 24時間で消える前提の投稿が、ハイライトで残り続ける |
| 予約投稿が出てしまう | 代行が事前に組んだ予約投稿 | 成約後に「新着物件」として公開される |
| 自社以外に残る | 他人のシェア・引用、まとめサイト | 自社で消しても完全には消えない |
特に注意したいのは「予約投稿」と「ハイライト」です。どちらも担当者の目に入りにくく、消し忘れが起きやすい場所です。
また、SNSでは物件以外の情報にも注意が要ります。取引態様(売主・代理・仲介の別)の明示は、SNSでも必要です。未完成物件は、開発許可や建築確認の前に広告できません(宅建業法第33条)。
代行会社と決めておく管理ルール5つ
ここが本題です。次の5つを、契約前に代行会社と文書で決めてください。
1. 物件投稿の台帳を作る
物件ごとに「投稿した媒体」「投稿URL」「投稿日」「予約投稿の有無」を一覧にします。台帳がないと、成約時にどの投稿を消せばよいか分かりません。
2. 成約連絡から削除までの期限を決める
「成約の連絡を受けたら、当日中または翌営業日までに削除か修正」のように期限を決めます。期限は法令で一律に決まっているわけではありません。規約は「表示内容に変更があれば速やかに修正・取りやめ」を求めているため、短く設定するのが安全です。
3. 成約連絡の流れを一本化する
営業担当から代行会社へ、誰がどう伝えるかを決めます。社内チャットの専用グループや共有シートなど、記録が残る方法を選んでください。口頭だけの連絡は漏れの原因になります。
4. 月1回の棚卸しをする
台帳と実際のアカウントを、月に1回は突き合わせます。ハイライト・固定投稿・予約投稿まで含めて確認します。棚卸しの結果を月次レポートに入れてもらうと、確認の手間が減ります。
5. 物件投稿と一般投稿を分ける
街の紹介やスタッフ紹介など、物件を特定しない投稿は残っても問題になりにくいです。物件情報は、常に更新できる自社サイトやLINEに誘導する設計にすると、残るリスクを減らせます。
成約済み物件を「成約済み」と明記して実績として見せる方法もあります。ただし募集中と誤解されない表示が前提です。判断に迷う場合は、所属の公正取引協議会に相談してください。
発注前に代行会社へ聞く質問と向き不向き
代行会社の選び方は大きく分けて次のタイプがあります。費用は業務範囲や媒体数で大きく変わるため、目安として見てください。
| タイプ | 費用レンジ | 向いている店/院 | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 不動産特化型 | 中〜高め(月額固定が多い) | 物件投稿が多い売買・賃貸仲介 | 規約・宅建業法のチェック体制、削除期限の対応可否 |
| 総合型 | 中程度 | ブランディング投稿が中心の会社 | 不動産の表示ルールを理解しているか |
| 動画特化型 | 1本単価で変動 | ルームツアー動画を出したい会社 | 動画内の価格・条件表示の確認方法 |
| フリーランス | 低〜中程度 | 投稿数が少ない小規模店 | 休暇時の代わりの担当、削除対応の速さ |
| 内製 | 人件費のみ | 営業と別に担当者を置ける会社 | 担当者が営業兼任で棚卸しが後回しにならないか |
見極めるための質問
- 「成約連絡を受けてから削除まで、何時間以内に対応できますか」
- 「物件投稿の台帳は、どちらが作って更新しますか」
- 「投稿前に、取引態様や価格表示を誰がチェックしますか」
- 「予約投稿を止める手順はどうなっていますか」
- 「削除漏れが起きたとき、どう報告してもらえますか」
答えが具体的な会社ほど、運用の仕組みがあると判断できます。選び方の全体像は不動産のSNS運用代行の選び方も参考にしてください。
頼むべき会社・頼まなくてよい会社
頼むべきなのは、物件の入れ替わりが早く、営業担当がSNSまで手が回らない会社です。削除と棚卸しを仕組みで回せる点に、外注の価値があります。
頼まなくてよいのは、物件投稿をほとんどせず、街の情報発信が中心の会社です。この場合は内製でも管理しやすいです。
費用の見方
月額だけで比べず、「1投稿あたり」と「反響1件あたり」に直して比べます。たとえば月額を投稿本数で割り、さらに削除・棚卸しの対応が含まれるかを確認します。安く見えても、削除対応が別料金なら実際の負担は増えます。成果は商圏や物件の種類で差があります。
契約書と権限で責任分担を明確にする
ルールは口約束では守られません。契約書に入れてください。
入れておきたい項目は次のとおりです。
- 物件投稿の台帳作成と更新の担当
- 成約連絡から削除までの期限
- 表示内容のチェック担当と最終承認者
- 削除漏れが起きた場合の報告と対応
- 解約時の投稿・台帳・アカウントの引き継ぎ
契約書全体の確認点はSNS運用代行の契約書チェックポイントにまとめています。
もう一つ大切なのが、アカウントの権限です。代行会社しかログインできない状態では、緊急時に自社で投稿を消せません。管理者権限は自社が持ち、代行会社には必要な範囲だけを渡します。手順はSNS運用代行に渡すアカウント権限の管理方法を参照してください。
まとめ
- 不動産会社のSNS投稿も、おとり広告規制と宅建業法の対象です
- SNSは投稿が残り続けるため、成約後の削除ルールが欠かせません
- 台帳・削除期限・連絡の流れ・月1回の棚卸し・投稿の分け方を発注前に決めます
- ルールは契約書に入れ、管理者権限は自社で持ちます
次の行動として、まず代行候補に「成約後の削除は何時間以内に対応できるか」を聞いてみてください。
よくある質問
Q. 代行会社が作った投稿で違反になった場合、責任は誰にありますか。
A. 広告主である不動産会社が責任を問われます。代行会社との間では契約で分担を決められますが、行政や協議会に対する責任は自社に残ります。
Q. ストーリーズは24時間で消えるので、管理しなくてよいですか。
A. ハイライトに保存すると残り続けます。ハイライトに物件を入れる場合は、台帳に載せて棚卸しの対象にしてください。
Q. 成約済み物件を「成約御礼」として投稿してもよいですか。
A. 募集中と誤解されない表示であれば、実績紹介として使われることがあります。表現に迷う場合は、所属の公正取引協議会に事前に相談するのが安全です。
Q. 他人にシェアされた投稿まで消す必要がありますか。
A. 他人の投稿は自社で消せません。まず自社の元投稿を削除・修正し、対応した記録を残しておくことが大切です。
不動産のSNS運用代行を比べるときは、投稿の質だけでなく「削除と棚卸しの仕組み」を見てください。代行会社のタイプ別の見方は不動産のSNS運用代行の選び方で、発注前の確認項目は資料請求の依頼前チェックリストで確認できます。株式会社HolyTechも、1本7,500円(税込)・初期費用0円の選択肢の1つとして掲載していますので、条件が合う場合の比較材料にしてください。
この記事について 業種別SNS運用代行ナビは株式会社HolyTechが運営する比較情報サイトです。当社もSNS運用代行を提供しており、比較表の1社として同じ基準で掲載しています。他社に関する記載は各社公式サイトの公開情報に基づき、順位付けはしていません。費用や成果は業種・商圏・体制で差があります。
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