SNS運用代行の契約書は、業務範囲・著作権・再委託・解約・損害賠償の5点を中心にチェックすると、発注後のもめごとを防げます。発注前に見るべき12条項を、担当者への質問例つきで条項別に解説します。
結論から言います。SNS運用代行の契約書は「業務範囲」「成果物の権利」「再委託」「解約」「損害賠償」の5点を先に読むと、多くのトラブルを事前に防げます。揉めやすいのは料金そのものより、「どこまでやってもらえるか」と「やめるときにどうなるか」です。この記事では、発注前に見るべき12条項を条項別に解説します。なお、本記事は一般的な解説です。個別の契約内容の判断は、弁護士へのご相談をおすすめします。
契約前に押さえる全体像|依頼先タイプ別に見るべき条項は違う
SNS運用代行の契約は、多くが「準委任契約」か「請負契約」、またはその組み合わせです。準委任は「作業すること」、請負は「完成品を納めること」に対して報酬を払う形です。どちらに当たるかで、やり直しを求められる範囲や途中解約の扱いが変わります。
依頼先のタイプによって、契約書で特に注意する点も変わります。
| タイプ | 費用レンジ | 向いている店/院 | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 総合型(企画〜広告まで一括) | 月額数十万円程度が多い | 多店舗・広告も任せたい企業 | 業務範囲の線引き、再委託先の有無、最低契約期間 |
| 業種特化型(サロン・医療など) | 月額十数万円前後が多い | 業種の表現ルールに慣れた会社を選びたい店・院 | 表現チェックの責任分担、素材の権利処理 |
| 動画特化型 | 1本あたり単価で契約することが多い | 縦型ショート動画を増やしたい店・院 | 動画素材・元データの扱い、修正回数 |
| フリーランス | 月額数万〜十数万円が多い | 少額で投稿作成だけ任せたい個人店 | 発注時の取引条件の明示、病気時の代替体制 |
| 内製(自社スタッフ) | 人件費+ツール代 | 撮影・投稿を担える人がいる店・院 | 契約不要だが、外部素材の利用規約は確認 |
※費用は業種・投稿本数・地域・体制で大きく差があります。目安としてご覧ください。
12条項の全体像は次の通りです。①業務範囲、②成果物と検収、③修正回数、④著作権の帰属、⑤著作者人格権と素材の権利、⑥表現チェックの責任分担、⑦再委託、⑧秘密保持・個人情報、⑨アカウントの帰属、⑩契約期間・更新・解約、⑪損害賠償、⑫報酬・支払条件です。以下、順に見ていきます。
業務範囲・成果物・権利の条項(①〜⑥)
①業務範囲:「運用一式」は危険信号
「SNS運用業務一式」とだけ書かれた契約書は要注意です。投稿の企画、撮影、編集、投稿作業、コメント返信、広告運用、月次レポートのどれが含まれるかを、別紙の仕様書で一つずつ確認します。月の投稿本数、対象の媒体(Instagram・TikTokなど)、撮影の訪問回数も数字で書いてもらいます。
②成果物と検収:いつ「納品完了」になるか
検収とは、納品物を発注側が確認して受け取ることです。「納品後◯日以内に連絡がなければ検収完了」とする条項がよくあります。忙しい店舗や医院では見落としやすいため、確認期間が現実的かを見ます。
③修正回数:無料の範囲を数字で
「1投稿につき修正2回まで」など、無料で直せる回数と、超えた場合の費用を確認します。ここが空欄だと、追加請求か品質低下のどちらかで揉めやすくなります。
④著作権の帰属:譲渡か利用許諾か
撮影した写真や動画の著作権は、原則として作った側(代行会社や撮影者)にあります。発注側に移すなら「譲渡する」と明記が必要です。さらに、著作権法では翻案権など(第27条・第28条の権利)は、特に書かないと譲渡した側に残ると推定されます。動画を切り抜いて広告やWebサイトに使い回すなら、ここまで書かれているか確認します。
⑤著作者人格権と素材の権利
著作者人格権(勝手に改変されない権利など)は、譲渡できない権利です。そのため「著作者人格権を行使しない」という特約を入れるのが一般的です。あわせて、BGM・フォント・素材写真の利用条件と、スタッフやお客様の肖像の同意を誰が取るかも確認します。社員出演の扱いは事前に書面で同意を取る流れにしておくと安心です。
⑥表現チェックの責任分担
美容サロンは薬機法・景品表示法、クリニック・歯科は医療広告ガイドライン、整体院などは「治る」といった効果表現に注意が必要です。2023年10月からはステルスマーケティング規制も始まっています。投稿前に誰が表現をチェックし、最終承認は誰がするかを契約書か仕様書に書いてもらいます。
再委託・秘密保持・アカウントの条項(⑦〜⑨)
⑦再委託:誰が実際に作るのか
再委託とは、代行会社が業務の一部を外部の制作者に任せることです。それ自体は珍しくありません。大切なのは「事前に書面で承諾が必要」か「自由にできる」かです。再委託先にも、秘密保持と同じ水準の義務を課す条文があるかも確認します。
⑧秘密保持・個人情報
顧客リスト、予約データ、患者さんの写り込みなど、SNS運用では個人情報に触れる場面があります。秘密保持の範囲、契約終了後も義務が続く期間、データの返却・削除の方法を確認します。医療機関は特に、患者情報の扱いを厳しめに設定するのがおすすめです。
⑨アカウントの帰属とログイン情報
見落としやすいのに、後で困りやすい条項です。アカウントは発注側の名義で作り、代行会社には権限を付与する形が安全です。契約終了時に、ログイン情報・広告アカウント・投稿データを引き渡すことを明記してもらいます。乗り換え時の流れは「SNS運用代行の乗り換え手順」で詳しく解説しています。
解約・損害賠償・支払いの条項と、費用の見方(⑩〜⑫)
⑩契約期間・自動更新・中途解約
最低契約期間(例:6か月)、自動更新の有無、解約の申し出期限(例:1か月前まで)の3点を確認します。中途解約に違約金がある場合は、金額の計算方法も見ます。成果が出ないまま期間に縛られるのは、よくある後悔です。
⑪損害賠償と責任の上限
「損害賠償の上限は直近◯か月分の委託料まで」とする条項が一般的です。上限自体は不自然ではありません。ただし、表現の法令違反や著作権侵害で発注側が責任を問われた場合に、どちらが負担するかは別に確認します。
⑫報酬・支払条件
月額固定か、投稿1本単位か、成果報酬かを確認します。成果報酬の場合は「成果」の定義(フォロワー数か、予約数か)と計測方法を必ず書いてもらいます。比較の考え方は「成果報酬と固定報酬どちらが得か」の記事も参考にしてください。
費用は「総額」と「1本あたり」に直して比べる
月額だけを見ると判断を誤ります。次の手順で直してみてください。
- 月額 × 最低契約期間 = 最低でも払う総額
- 月額 ÷ 月の投稿本数 = 1本あたりの費用
- 月額 ÷ SNS経由の来店・予約件数 = 1件あたりの費用(数か月後に計測)
たとえば月額10万円・月8本なら、1本あたり1万2,500円です。初期費用や撮影の出張費が別にかかるかも、契約書の報酬条項で確認します。
担当者に聞くべき5つの質問
- 仕様書で、月の投稿本数と作業内容を数字で示してもらえますか?
- 写真・動画の著作権は譲渡ですか? 広告への転用もできますか?
- 再委託はありますか? ある場合、事前に教えてもらえますか?
- 解約時に、アカウントとデータはすべて引き渡してもらえますか?
- 投稿前の表現チェックは、誰がどの基準で行いますか?
自分で確認で足りる場合/弁護士に見てもらうべき場合
自社のひな形で契約し、月額が少額で、最低契約期間も短い場合は、上の12条項を自分で確認すれば足りることが多いです。一方、代行会社のひな形で契約する場合、年単位の契約や高額の違約金がある場合、医療など表現規制が厳しい業種の場合は、弁護士に一度見てもらうことをおすすめします。
まとめ
SNS運用代行の契約書は、業務範囲・権利・再委託・解約・損害賠償の5点を先に読みます。曖昧な部分は「仕様書に数字で書いてください」と依頼するのが基本です。費用は総額と1本あたりに直して比べます。次の行動として、まずは比較表で各社の契約条件の傾向を見比べてみてください。
よくある質問
Q. 代行会社の契約書をそのまま使っても大丈夫ですか?
A. ひな形自体は珍しくありません。ただし、代行会社側に有利な条文になっている場合があります。本記事の12条項を確認し、気になる点は修正を依頼してください。判断に迷う場合は弁護士への相談をおすすめします。
Q. フリーランスに頼む場合も契約書は必要ですか?
A. 必要です。2024年11月施行のフリーランス法により、発注側は業務内容や報酬額などの取引条件を書面やメールで明示する義務があります。口約束で始めず、条件を文書に残してください。
Q. 投稿した写真を、契約終了後もホームページで使えますか?
A. 契約書で著作権の譲渡か、終了後も使える利用許諾が定められていれば使えます。定めがないと、使い続けられない可能性があります。発注前に「終了後の利用」を確認してください。
Q. 途中で解約したくなったら、どうすればよいですか?
A. まず契約書の解約条項で、申し出期限と違約金を確認します。そのうえで、アカウントとデータの引き渡しを先に依頼します。引き継ぎを済ませてから解約を申し出ると、運用の空白を防げます。
契約条件は、依頼先のタイプによって傾向が違います。業種別の比較表では、各社の公式公開情報をもとに、料金体系や対応範囲を並べています。美容サロンは美容サロン向け 各社比較表、クリニック・歯科はクリニック・歯科向け 各社比較表をご覧ください。発注前に使える「依頼前チェックリスト」は資料請求から受け取れます。運営元の株式会社HolyTechも、1本7,500円(税込)・初期費用0円のプランで比較表の1社として掲載しています。条件が合う場合の選択肢の一つとしてご検討ください。
この記事について 業種別SNS運用代行ナビは株式会社HolyTechが運営する比較情報サイトです。当社もSNS運用代行を提供しており、比較表の1社として同じ基準で掲載しています。他社に関する記載は各社公式サイトの公開情報に基づき、順位付けはしていません。費用や成果は業種・商圏・体制で差があります。
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