スクールが生徒の声をSNSに掲載するときは、本人と保護者の同意書を取り、成果が一般的でない体験談には打消し表示を付けることが前提です。景品表示法の優良誤認を避ける表示ルールと、代行会社に確認すべき点を解説します。
結論から言います。スクールが生徒の声をSNSに掲載するなら、「書面の同意」と「成果の実態に合った表示」の2つがそろって初めて公開できます。同意がないまま載せると、肖像権や個人情報の扱いで生徒・保護者とのトラブルになります。また「3か月で合格」「未経験から転職」など一部の人の成果を、誰でも得られるように見せると景品表示法の優良誤認(実際より著しく良いと誤解させる表示)にあたる恐れがあります。「個人の感想です」と小さく添えるだけでは足りない、というのが消費者庁の考え方です。この記事では、同意書の取り方、打消し表示の書き方、運用代行に任せるときの確認点を順に整理します。
生徒の声の掲載で問題になる3つのルール
生徒の声には、性質の違うルールが3つ重なります。どれか1つだけ守っても、他で引っかかります。
| ルール | 何が問題になるか | スクールでの典型例 |
|---|---|---|
| 肖像権・個人情報 | 本人の了承なく顔・氏名・学校名などを出す | 授業風景の写真に生徒が写り、名前入りで投稿 |
| 景品表示法(優良誤認) | 一部の好成績を一般的な成果のように見せる | 「受講生の声:半年でTOEIC大幅アップ」だけを並べる |
| ステマ規制 | スクールが依頼・対価を出した投稿なのに広告と分からない | 割引と引き換えに生徒の個人アカウントで感想を投稿してもらう |
肖像権と個人情報は、主に同意の取り方で防ぎます。景品表示法は表示の中身、ステマ規制は「誰が言っているか」の明示で防ぎます。
ステマ規制は2023年10月から景品表示法の告示として施行されています。スクールが生徒に投稿を頼み、受講料の割引や特典を渡した場合は、生徒の投稿でもスクールの広告として扱われます。「#PR」などの表記を付けてもらう運用が必要です。詳しくはSNS運用代行とステマ規制|発注企業が負う責任と確認すべき対応で整理しています。
違反時に行政の処分を受けるのは、代行会社ではなく広告主であるスクールです。
同意書の取り方|書面で取る5つの項目
口頭の「載せていいよ」は、後から「そこまでとは聞いていない」と言われると反論できません。同意は書面(紙または電子フォーム)で残します。最低限、次の5項目を入れてください。
- 掲載する内容の範囲:コメント文、顔写真、動画、名前(実名・イニシャル・匿名)のどれを出すかを個別にチェックできる形にする
- 掲載する場所:Instagram、TikTok、LINE公式アカウント、ホームページ、チラシ、広告配信など媒体を列挙する。「SNS等」だけにしない
- 編集の範囲:文章を要約・抜粋するか、成果の数値を載せるか。要約した場合は公開前に本人確認する、と書く
- 掲載期間と取り下げ方法:いつまで載せるか、取り下げ依頼の窓口と対応期限を明記する
- 未成年の場合は保護者の同意:本人と保護者の両方の署名をもらう。子どもの写真の扱いは子どもの習い事教室がSNSに写真を載せる注意点|代行と決めるルールも参考になります
退会後の扱いも決めておきます。退会と同時に削除するのか、同意の範囲内で残すのかで、後のトラブルの起きやすさが変わります。
同意は「入会時の申込書に一括で入れる」より、「声をもらうタイミングで個別に取る」ほうが有効です。入会時の包括同意だけでは、何に使われるか本人が想像できないためです。
成果が一般的でない場合の打消し表示
ここが本記事の中心です。体験談そのものは禁止されていません。問題は、体験談を見た人が「自分も同じ成果が出る」と受け取るのに、実際はごく一部の人しか達成していない場合です。
消費者庁の打消し表示に関する実態調査報告書では、体験談を使う場合、次のような情報を明瞭に表示すべきだとしています。
- 調査した受講者の人数と属性
- そのうち体験談と同じような成果が出た人の割合
- 成果が出なかった人の割合
あわせて「個人の感想です。効果には個人差があります」といった表示だけでは、一般的な成果ではないことが伝わらないとしています。
スクールで置き換えると、次のようになります。
| 体験談の例 | 足りない表示 | 改善の方向 |
|---|---|---|
| 「受講3か月で英検準1級に合格」 | 受講者全体の何割が同程度か不明 | 対象期間の受講者数と合格者数を併記。データがなければ成果の数値自体を載せない |
| 「未経験からエンジニアに転職」 | 転職できなかった人の存在が見えない | 転職支援の利用者数と転職者数を併記し、条件(学習時間など)を書く |
| 「娘が楽しく通っています」 | 成果を言っていないため打消し不要なことが多い | 雰囲気・通いやすさの声として出す |
ポイントは3つです。
- 打消し表示は体験談のすぐ近くに、読める大きさで置く:画像の隅に小さな文字、キャプションの「続きを読む」の先、動画で一瞬だけ表示、はいずれも伝わりにくい表示とされます
- 数字の根拠を手元に残す:合格者数・転職者数を出すなら、集計期間と母数の記録を保管する。消費者庁から根拠資料を求められ、出せないと不当表示とみなされる場合があります
- 根拠がないなら成果の声を使わない:体験談を「授業の雰囲気」「講師の教え方」「通いやすさ」の声に寄せると、表示リスクが大きく下がります
語学・学習塾・パソコン教室など一部の業態は、特定商取引法の特定継続的役務にもあたり、誇大広告の禁止が別にかかります。料金や成果の表示を広く見直すときは、景品表示法と合わせて確認してください。
運用代行に任せる場合の選定基準と費用の見方
生徒の声の投稿を外部に任せるなら、デザインや投稿本数より「表示の確認体制」で選びます。
| タイプ | 費用レンジ | 向いているスクール | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 内製(スタッフ運用) | 人件費のみ | 生徒数が少なく、声の数も限られる教室 | 同意書の管理者と公開前チェック者を分けられるか |
| スクール・教室特化型代行 | 月額数万〜十数万円が多い | 体験申込や入会までの導線も任せたい教室 | 成果表示の打消しルールを持っているか |
| 総合型代行 | 月額十万円前後〜が多い | 複数校舎・複数媒体で広告も回すスクール | 担当者が教育業界の表示ルールを理解しているか |
| フリーランス | 1本単位の安価な依頼が多い | 撮影・編集だけ切り出したい教室 | 同意確認と表示確認をスクール側で持てるか |
費用は依頼範囲・本数・撮影の有無で差があります。教室ビジネスでの比較軸はスクールのSNS運用代行を比較|教室ビジネスに強い代行の見極め方で詳しく扱っています。
契約前に、次の質問をしてください。答え方で体制の有無が分かります。
- 生徒の声を投稿する前に、同意書の範囲と照らし合わせる工程はありますか?
- 成果の数値を含む体験談に、どんな打消し表示を付けていますか?実例を見せてもらえますか?
- 生徒の個人アカウントに投稿を依頼する企画では、PR表記をどう案内しますか?
- 退会や取り下げ依頼があったとき、何日以内に、どの媒体から削除できますか?
- 表示の判断に迷ったとき、誰が最終確認しますか(スクール側の承認を挟めますか)?
費用は月額だけで比べず、1本あたりに直します。月額を投稿本数で割り、さらに体験申込1件あたりにも直すと比べやすくなります。表示チェックが含まれる会社は1本単価が高く見えますが、修正や削除の手間、行政対応のリスクを含めれば割高とは限りません。
頼むべきスクール:体験談を広告にも使う、校舎が複数ある、未成年の生徒が多い、など同意と表示の管理項目が多いところです。 頼まなくてよいスクール:生徒の声を月に数件だけ、雰囲気の声として載せる小規模教室です。同意書のひな形を整え、自分たちで運用するほうが合います。
まとめ
- 生徒の声は、媒体・範囲・期間を明記した書面の同意を取ってから掲載します
- 成果が一般的でない体験談は、母数と割合を近くに表示します。「個人の感想です」だけでは不十分です
- 根拠データがなければ、成果ではなく授業の雰囲気や通いやすさの声に寄せます
- 外注するなら、表示の確認体制を質問して見極めます
まずは手元の同意書ひな形に5項目がそろっているか確認し、代行に聞く質問を整理してください。
よくある質問
Q. 匿名やイニシャルなら同意書は不要ですか?
A. 不要とは言えません。顔写真や声、通っている校舎などから本人が特定できる場合があります。匿名でも、掲載すること自体の同意は書面で取っておくのが安全です。
Q. Googleの口コミをSNSに転載してもよいですか?
A. 投稿者本人の了承を得てから使ってください。口コミでも、成果をうたう内容を広告として使えば、打消し表示の考え方は同じです。
Q. 合格実績を載せるとき、講習だけ受けた人も数えてよいですか?
A. 数え方を明示しないと誤解を招きます。「通年受講者のうち」「講習のみ含む」など対象を書き、母数とあわせて表示してください。
Q. 退会した生徒から削除を求められたら、どうすればよいですか?
A. 同意書で決めた窓口と期限で対応します。ストーリーズのアーカイブや広告素材など、見落としやすい場所も含めて削除します。
Q. 代行会社が作った投稿で違反になった場合、責任は誰にありますか?
A. 行政上の責任を負うのは、広告主であるスクールです。契約で代行会社との分担を決めても、承認工程はスクール側に残してください。
生徒の声の扱いを含めて代行会社を比べたいときは、各社の公式公開情報をまとめたサイト内の比較表をご覧ください。発注前に確認したい項目は、資料請求の依頼前チェックリストにまとめています。株式会社HolyTechも比較表の1社として掲載しており、1本7,500円(税込)・初期費用0円で依頼できます。表示チェックの範囲を含め、他のタイプと条件を並べて検討してください。
この記事について 業種別SNS運用代行ナビは株式会社HolyTechが運営する比較情報サイトです。当社もSNS運用代行を提供しており、比較表の1社として同じ基準で掲載しています。他社に関する記載は各社公式サイトの公開情報に基づき、順位付けはしていません。費用や成果は業種・商圏・体制で差があります。
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