飲食店の開業に向けたSNS準備は、内装工事中の2〜3か月前から始めるのが基本です。代行に任せる範囲、逆算スケジュール、費用の見方、オープン記念割引で注意したい二重価格表示まで、発注前の確認点をまとめました。
結論から言います。飲食店の開業前のSNS準備は、オープンの2〜3か月前、内装工事中から始めるのが基本です。オープン当日にアカウントを作っても、見てくれる人がほとんどいないからです。工事の進み具合や試作の様子を発信し、プレオープンの告知につなげると、初月の客数を見込みやすくなります。代行に頼む場合は「いつから・何を・どこまで」を逆算して決めることが大切です。オープン記念の割引表示には二重価格表示の注意点もあるため、あわせて解説します。
開業前からSNSを始めるべき理由
オープン直後の集客は、開業前にどれだけ「知っている人」を増やせたかで差が出ます。SNSのフォロワー(投稿を見てくれる登録者)は、一晩では増えません。
内装工事中は、実は発信のネタが豊富な時期です。たとえば次のような投稿が作れます。
- 工事前の空き物件から、壁や照明が仕上がっていく過程
- 店主の経歴や、この場所で開業を決めた理由
- メニューの試作、食材の仕入れ先の紹介
- 器や家具を選ぶ様子、店名やロゴに込めた意味
完成した店の写真だけでは「新しい店ができた」で終わりがちです。準備の過程を見せると、近隣の人が「通りがかりに見ていた店」として関心を持ちやすくなります。
もう1つの理由は、オープニングスタッフの募集です。開業前の発信はお客様だけでなく、働きたい人にも届きます。アルバイト募集をSNSで補う方法は「アルバイト採用をSNSで強化|求人媒体費を下げる運用代行の活用」で解説しています。
オープンから逆算した準備スケジュール
オープン日を起点に逆算すると、やるべきことが整理できます。工事の遅れでオープン日が動くこともあるため、日付は確定してから告知するのが安全です。
| 時期 | やること | 代行に任せやすい作業 |
|---|---|---|
| 3か月前 | アカウント開設、プロフィール・店名表記の統一 | アカウント設計、プロフィール文の作成 |
| 2か月前 | 工事中の発信開始(週2〜3本目安) | 撮影の段取り、投稿文の作成、投稿代行 |
| 1か月半前 | Googleマップの店舗情報を整備、メニュー写真の撮影 | 料理撮影、メニュー表記の整理 |
| 1か月前 | オープン日・プレオープンの告知開始 | 告知投稿、ストーリーズ(24時間で消える投稿)の運用 |
| 2週間前 | プレオープン(関係者・近隣向けの試験営業) | 当日の撮影、来店者の投稿の確認 |
| オープン後1か月 | 予約・来店状況を見て投稿内容を調整 | 月次の振り返りレポート |
具体的な手順は次のとおりです。
- 店名とアカウント名をそろえる:Instagram、Googleマップ、LINE公式アカウントで表記を統一します。検索されたときに迷わせないためです。
- 工事中の発信を始める:完成前でも「何の店ができるのか」が分かる投稿を優先します。
- Googleの店舗情報を整える:Googleビジネスプロフィールには、開業予定日を登録できる機能があります。対象条件は公式ヘルプで確認してください。
- プレオープンを告知に使う:招待客の感想や当日の写真は、オープン告知の素材になります。招待客に投稿をお願いする場合は、PR表記のルールも確認が必要です。詳しくは「飲食店のインフルエンサー招待の費用と注意点|PR表記と代行範囲」をご覧ください。
- 予約の受け口を決める:電話・予約サイト・LINEなど、SNSから予約までの導線を1本に絞ると迷いが減ります。
オープン記念の割引表示は二重価格表示に注意
オープン記念の告知で多い失敗が、割引の書き方です。「通常価格1,500円→オープン記念980円」のような表示は、景品表示法の二重価格表示にあたる可能性があります。
消費者庁の価格表示ガイドラインでは、比較に使う「通常価格」は、実際に相当の期間その価格で販売していた実績が前提とされています。開業前の店には販売実績がないため、比較対象の「通常価格」を示すこと自体が問題になりやすいのです。
「オープン後は1,500円」と将来の価格を並べる表示も、その価格で実際に一定期間販売しなければ不当表示とみなされるおそれがあります。安全な告知にするには、次の方法が考えられます。
- 割引ではなく「ドリンク1杯サービス」などの特典にする
- 「期間中は980円で提供します」と、期間と価格だけを書く
- 特典の金額には景品の上限ルールがあるため、高額なものは避ける
代行会社に告知文を任せる場合も、表示の最終責任は店側にあります。「価格や割引の表示を誰がチェックするか」を契約前に確認してください。判断に迷う表現は、消費者庁の公表資料や専門家に確認すると安心です。
代行タイプ別の比較と費用の見方
開業前のSNS準備を外注する先は、大きく4タイプに分かれます。費用は依頼範囲や撮影の有無で大きく変わるため、下表は目安として見てください。
| タイプ | 費用レンジ(月額の目安) | 向いている店 | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 飲食店特化型 | 5〜20万円程度が多い | 開業準備から一式任せたい店 | 開業前のスポット契約に対応しているか |
| 総合型 | 10〜30万円以上が多い | 広告やWebサイトもまとめて頼みたい店 | 飲食店の担当経験がある人が付くか |
| フリーランス | 3〜10万円程度が多い | 撮影と投稿だけを安く頼みたい店 | 体調不良時の代わりがいるか |
| 内製(自分たちで運用) | 外注費0円(人件費・機材費は発生) | 店主が発信を楽しめる店 | 開業準備と並行して続けられるか |
費用は月額だけで比べず、1本あたり・来店1件あたりに直すと判断しやすくなります。
- 1本あたり:月10万円で投稿12本なら、1本約8,300円です。撮影・文章・投稿のどこまで含むかも確認します。
- 来店1件あたり:開業前3か月で合計30万円かけ、SNS経由の予約が仮に150件なら1件2,000円です。実際の件数は業態・立地・客単価で差があります。
予約時に「何を見て来店したか」を聞く仕組みがないと、来店1件あたりの費用は計算できません。計測方法も代行会社と事前に決めておきましょう。
代行に頼むべき店・頼まなくてよい店
開業前は内装、仕入れ、採用、保健所の手続きなどが重なります。SNSまで手が回らないなら、外注を検討する価値があります。
頼むべき店 - 店主が厨房の準備で手一杯で、撮影や投稿の時間が取れない - 住宅街や2階以上の物件など、通りがかりの集客が期待しにくい - 初月の売上計画に、まとまった客数を見込んでいる
頼まなくてよい店 - 常連客が付いた状態での移転・2号店で、既存アカウントがある - 店主が日常的にSNSを使い慣れていて、発信に時間を割ける - 予算が限られ、まずは無料でできる店舗情報の整備を優先したい
選ぶときは、次の4つを質問すると見極めやすくなります。
- 開業前の工事期間から、スポットで契約できますか?
- 撮影は誰が担当し、何回まで現地に来てもらえますか?
- 割引や特典の表示は、誰がどう確認しますか?
- オープン後、自分たちで運用に切り替える場合の引き継ぎはありますか?
契約書で見ておくべき条項は「SNS運用代行の契約書チェックポイント|発注前に見るべき12条項」にまとめています。特にアカウントの所有権は、開業前に店側の名義で作っておくことが大切です。
まとめ
飲食店の開業前のSNS準備は、オープン2〜3か月前の工事中から始めるのが基本です。工事の過程とプレオープンを発信の素材にし、オープン日から逆算して準備します。オープン記念の割引は、二重価格表示にならない書き方を選んでください。代行を比べるときは、月額を1本あたり・来店1件あたりに直して判断しましょう。まずは依頼前チェックリストで、任せる範囲を整理するところから始めてください。
よくある質問
Q. 内装工事が遅れてオープン日が変わりそうです。告知はいつから始めればよいですか?
A. 工事中の発信は日付を出さずに始められます。オープン日の告知は、日程が確定してから行うのが安全です。変更が出た場合は、早めに訂正投稿を出しましょう。
Q. 開業前だけ代行に頼み、オープン後は自分たちで運用できますか?
A. 可能です。ただし、すべての会社がスポット契約に対応しているわけではありません。契約前に期間の区切りと、撮影素材や投稿ルールの引き継ぎ方法を確認してください。
Q. オープン記念で「全品半額」と告知しても問題ありませんか?
A. 「通常価格」を並べず、期間と価格を明示する書き方なら問題になりにくいです。一方で、販売実績のない通常価格との比較は二重価格表示にあたるおそれがあります。迷う場合は消費者庁の資料や専門家に確認してください。
Q. 開業前のSNS準備で、最低限やっておくべきことは何ですか?
A. 店名表記の統一、Googleの店舗情報の整備、工事中からの週2〜3本の発信の3つです。予算が限られる場合も、この3つは優先して進めましょう。
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